ふづきです。
雪解けと共に、
旅人が動き始める季節となりました。
つい先日、
道東の地でも桜が咲き始めたと思ったら…
可憐なものほど儚いもので。
土地が変わると見頃も見モノも変わり、
常に新たな気持ちでスタート出来ます。
”続ける”ことの大事さを忘れずに、
”見つける”ことの楽しさを大切に。
人生という名の
旅を楽しく学び続ける夫婦へと…。
はじめに
<2023年6月>
とある日曜日。
知床・羅臼方面に用事があり、その帰りの道中。
嫁のさつきに「どこか温泉入ってから帰ろうか!」と提案したところ、「なんか良さげなところがあるよ!」と。またしても嫁のリサーチで見つけた良さげな温泉は、斜里町の”越川温泉”という名前だそう。
ホテルや旅館ではなく、スパ銭や昔ながらの銭湯でもなさそうな。表現が良くないかもしれませんが、プレハブ小屋のような地元愛の強そうな佇まい。個人的に大好物です♪万人受けするモノより、好きな人だけが来るような色んな意味で濃い温泉は、ハズレ要素が少ないですからね!
越川温泉
羅臼にいたときは天気が良かったのですが、峠を越えて知床に入ってからはあいにくの雨模様。地元の方曰く「羅臼が晴れてるときは知床は雨」と言うように、峠を挟んで天気は変わるようです。
大概この手の温泉に辿り着くには、目印のない山道や農村地を抜けてくることが多いです。今回も期待を裏切らないような、ナビなしでは来られない場所にありました。
もともと「共同浴場*1」は、地元の方が知っていれば良いものですからね。余所者でも入らせて頂けるのであれば有難い、という気持ちでお邪魔させて頂いています。
外観
建物からお湯と雰囲気を想像する。
きっと、浴槽だけしかないんだろうな…
濃厚なお湯が湧いてるんだろうな…
どんな色、匂い、味がするんだろう…
この時間が実は一番楽しいひとときだったりします。
この森の中にポツンと、倉庫や納屋のような佇まいの建造物。ネット社会でなければ足を運ぶことなんてないような場所に、良質な温泉が湧いているなんて誰が想像しますか?
はい、私です!前のめりで!!
詳細*2
・名称 越川(こしかわ)温泉
・所在地 北海道斜里郡斜里町字富士150-1
・TEL 不明
・定休日 不明
・料金 協力金200円
・時間 6:00~22:00
・駐車場 あり(無料)
・泉質 ナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩泉
※旧泉質名 含石膏・食塩ー芒硝泉
・pH 7.3
・泉温 54.0℃
・浴槽 男女別 内風呂×1
※シャワーやカラン、アメニティー類なし。
・公式HP 不明
・地図
※出典:Googleマップ
内観
写真は、待合室から出入り口付近を写したもの。
入ってすぐ右側(写真では真ん中付近)に赤いものが見えますが、これは「貯金箱」のようで。協力金200円を入れる巨大な貯金箱でしたw。
白いプレハブ小屋の扉を開けると、部屋一面が待合室になっていて、囲むようにソファーが置いてありました。つまり、入るとすぐ地元の方々から一斉に見られるという、ちょっとプレッシャーのある形となります。
流れを簡単に説明すると…
ガラガラ(扉を開ける)
↓
ふづき 「(うゎ…)こ、こんにちわー!」
↓
地元民たち「こんにちわ」
↓
地元民A 「お金はそこに入れてね」
↓
地元民B 「お風呂はこっちだからね」
↓
さつき 「はい!ありがとうございます!」
待合室を見渡すと
注意書きもありましたが、組合員さんたちの役割分担なども書かれていて、今いる方々も含めて皆さんでこの越川温泉が維持管理されているんだなと、改めて感じました。自分たちが思うマナーも大事ですが、場所場所での決まり事も少なからずあるので、お金を払っているから良いではなく、(自分たちは)あくまで余所者として利用させて頂いているという気持ちでいることが大切だと思っています。
何よりも一番必要なことは、挨拶から始まるコミュニケーション!お互いに不快な思いをさせないと同時に、地元の方だけが知ってる貴重な情報がGET出来たりしますからね♪
脱衣所
待合室で地元の方々に教えてもらった通り、
出入り口から見て左奥にある茶色のカーテンを潜ると、右側に女湯脱衣所が。奥側に男湯脱衣所がありました。
外観から分かる通りの共同浴場。
1畳ほどの脱衣所には木の棚にプラスチックの籠が置いてあるのみ。個人的にこの雰囲気はむしろ落ち着きますね。もちろん貴重品は自己管理です。
タオルは浴室へ携帯しましょう♪
入浴してみた
浴室は6畳ほどの広さだったでしょうか。
男湯とは左右対称で、薄いベニヤ板1枚で仕切られている状態。夫婦やカップルで来られた際には、声掛けで上がることが出来ます。
シャワーやカランなどなく、コンクリート製の湯船ひとつあるのみ。湯船から桶か柄杓で源泉を掛け湯するか、それを蛇口から出る水で割って掛け湯することになります。このような浴槽のみの共同浴場は久々で、テンションが上がります♪
石が赤茶に変色しているのは、お湯のせいでしょうか。掛けてあるタオルも薄っすら赤茶に染まっていました。
お湯は緑がかった薄濁り湯。
なのに、赤茶に染まるのって不思議ですよね。でも、温泉をめぐっているとそのような不思議に沢山出会うことが出来るので本当に面白いですし興味深いです。
地元の方に話を伺う
浴室には先客(地元の方2名)がいらっしゃり、軽く挨拶を交わしてから掛け湯をする。
浴槽が小さめということもあり、湯温も少し熱め(42~44℃)のため、頭からかぶるとシャキッとする熱さ。顔に付いた滴を舐めると、強い塩辛さを感じるほど。
いいお湯ですね。
地元民A
「もともとこんなお湯じゃなかったんだよ。前は新しいタオルが使えなくなるくらい茶色く染まったお湯で、こんなにしょっぱくなかったんだよね。最近は顔に掛けるとしょっぱいお湯になって、そんなにタオルも染まらなくなったから、あそこ(待合室)にある成分も変わっているのかもしれないね。(今は)鉄分も多いからね」
そうなんですね。
先ほど羅臼で熊の湯に入ってきたのですが、こちらの方が軟らかい感じがします。
地元民B
「羅臼の熊の湯と違って刺すようなお湯じゃなく、こっちは軟らかさがあるだろ?家に帰ってからもポカポカ温かいお湯だからね」
コップがありますけど、
このお湯は飲めるんですか?
地元民B
「水は沢の水だから飲めないけど、温泉は飲めるよ」
実際飲んでみると、
意外と塩辛さよりもまろやかさと飲みやすさを感じ、先ほど仰っていた鉄分の後味が付いてきましたがそこまで気にならないくらいでした。
まとめ
今回は、
羅臼・知床の帰りに立ち寄らせて頂いた共同浴場「越川温泉」。
近くには写真のような貴重な橋梁も見られるため、温泉のみならず貴重な体験をさせて頂けたなと身体も心も満足させられました。
口コミを見ていると賛否両論ありますが、
それは有志で維持管理しているからこそのことだと思っています。
地元の方と話をしてみると、
自分たちのように余所から来た人にも優しく、「ゆっくり入っていきなさいよ」「気を付けて帰りなね」と笑顔で声を掛けて下さいました。
お湯を大事に大切にし、湯守の会員として。
お湯と人との繫がりをも守り続けているんだろうなと感じました。
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