今週のお題「空の写真」
今日も朝から雨が降り始め、
「今日もまた雨か」
と、いつもと変わりのない空模様と挨拶を交わす。
連休が取れたので、温泉でも行こうかと嫁を誘って車を走らせる。
BGMは晴れ模様のアップテンポな曲調、気分も自然と上がってくる。
コーヒー片手に、雨音鳴り響く車道を突き進んでいくと、さらに雨足は自分たちを追い越すかのように早く落ち始める。
“東京は雨~”
スピーカーから聴こえてくる曲は雨模様。
「言われなくてもわかってる」と心で呟く。
雨のジメジメさに乗ってしまい、嫁のちょっとした言葉に大雨のようなセリフを吐いてしまう。
…案の定、ゲリラ豪雨の如く、怒らせてしまう。
ごめんなさい。涙。
好きな温泉は、大概、山奥にあったりする。
秘湯…まで行かずとも、火山が関係しているのだろうか、硫黄のガスの噴き出す岩肌を眺め、背の低い木々や、都会ではあまり聴かない鳴き声の鳥たちが姿を見せる。時には獅子神様…いやニホンカモシカなども。
そこから沸き出る温泉を引いて、自然に温度を冷まし、ありのままの湯を身体いっぱいに浴びる。その湯気から香るたまご臭のような、服に染み付くような匂いが堪らなく好きな自分がいる。嫁も同じく、温泉馬鹿なのかもしれない。嫁の笑顔が虹架かる。
ともかく、夫婦ふたりとも温泉旅好きの晴れ男、晴れ女のようで、温泉に入り始めると、雨音が小さくなり、雨粒かと思った雫は気付けば汗と変わり、山合からは太陽が覗き込む。「嫁の裸をそんなに見たいか」と言わんばかりの陽射しで。
いつの間にか、嫁の表情にも陽が射し込み、
ふたりの旅が雨から晴れに変わるのでした。