今週のお題「夏休み」
ふづきです。
子供の頃はよく、おばあちゃんちに連れて行ってもらうのが楽しみでした。
いつでも優しく迎えてくれて、お小遣いをくれたり、何より甘く焦げた玉子焼きが大好きでした。
夏休みになると、実家の山奥にカブトムシを採りに兄と出掛けましたが、クワガタしか採れずガッカリしたことを思い出します。木の幹に甘い蜜を塗り、夜見に行くと多くの昆虫が集まっていましたが、やはり、お目当ての角が生えた者はおらず。けれども、おばあちゃんちの裏山には、おじいちゃんだけが知っている秘密の場所があり、そこには沢山のカブトムシが集まっていて、麻袋に沢山捕まえて喜んでいました。
あんなに欲しがっていたカブトムシ。
今となっては、羽の音に恐怖を感じたり、キュウリやスイカを食べると「カブトムシの味だ」と思い出すのは、大人になったからでしょうか。
おばあちゃんちに行くと、夏が来たと感じます。
海の近くにあり、よく海水浴場に行きました。ビーチパラソルがそこらじゅうにあり、テトラポットの近くには近づくなと言われながらも、そこには宝の山があって、ヤドカリやカニさんが何匹も顔を覗かせていました。
きれいな海だと思っていました。
家族みんな、泳ぎが上手く、気持ち良さそうに泳いでいる姿をよく見ていました。
気づくと、砂浜からだいぶ離れていて、振り返ろうと足を着くと、
「えっ?」
水中を掻くように、バタバタあがきました。
知らぬ間に流されていて、知らないおじさんに助けられて、無事砂浜に戻りました。
初めて、海は怖いものだと知りました。
それからというもの、学校のプールの授業では、水に顔を浸けるのが怖く、プールに入っても、歩いたり泳いでるフリをして過ごしました。
けれども、時は来て、泳ぎのテストが始まります。
みんなはクロールやら平泳ぎ、スクールに通ってる人はバタフライなんかもやって泳いでいました。
自分の番が回ってきて、「どうしよう」と思いましたが、泳ぎ方を知らないので、けれども、足を着かなければ良いとのルールだけは知っていたので、必死に25メートル泳ぎました。
それが“犬掻き”でした。
誰よりも時間をかけ、誰よりも拍手を浴びたことを覚えています。当の本人は、恥ずかしさだけを感じていましたが。
大人になってからも、夏休みになると、やはり、おばあちゃんちに行く習慣があります。
きれいな海は、眺めるだけになりましたが、潮風は気持ちが良いものです。
おばあちゃんちというと、必ず急な階段があって
レトロな電球があって
今も昔も変わらない夕日が見えます。
花火大会を観に行ったりもしました。
あれから十数年経ちますが、
おばあちゃんちは、やはりおばあちゃんちで、
夏休みと言えば、おばあちゃんちなんです。
溺れた記憶は、夏が来る度に、海を見る度に思い出します。
そこで培った泳ぎは、今でも体が憶えています。
セミが鳴き始める頃、
暑い陽射しを感じながら、夏の休みに耽ります。