ふづきです。
自分は、嫁と温泉と旅が好きです。
だから、嫁と温泉めぐりの旅をしています。
ただ、それだけです。それだけでワクワクしませんか?
はじめに
温泉を楽しみたい!
けれど、
何を楽しめば良いのか、何が楽しいのか良くわからない。
温泉のことを全く知らないから楽しめるわけがない。
そもそも、
他人とお風呂に入る意味がわからない。
誰のことではなく、自分(ふづき)が思っていたことです。もともと、家のお風呂ですら「身体を洗って温まる」だけの習慣でしかなく、個人で楽しんだり、誰かと共感し合ったりするなんて想像もしていませんでした。そんな自分が、(特に勉強したわけでもなく)温泉を楽しみとしているのはなぜか。そして、温泉の何が楽しみで、至福の時だと感じるのか。個人的主観と偏見で、色々なジャンルで分けて見ていくと、面白いものが見えてくることに気付きました。専門的な知識を持っていない、ただの趣味と生きがいとして旅を楽しんでいる夫婦の『温泉の楽しみ方』を紹介したいと思います。
温泉を楽しむ
温泉とは
温泉(おんせん)は、地中から湯(熱水泉)が湧き出している現象や場所、湯そのものを示す用語である。その熱水泉を用いた入浴施設やそれらが集まった地域(温泉街、温泉郷)も一般に温泉と呼ばれる。人工温泉と対比して「天然温泉」と称する場合もある。
他にも、温度が25℃以上、特定の物質が一定以上含まれていなければならないなど、温泉の定義*1が設けられています。詳しく知りたい方や、興味を持っている方は参照してみて下さい。
楽しむとは
楽しいと感じることは人それぞれです。他人と無理に協調する必要はないと思っています。
ただ、同じ楽しさを感じる相手がいるなら、言葉に出したり、文字として表現したり、態度に出して分かち合ったりすると、余計に嬉しかったりします。単純ですが、自分に取ったらその相手が嫁のさつきだったこと。そのことで、常に共感し合えることは幸せなことだと思っています。もし一人であっても、このような場があれば見てくれる人がいる。「私もそう思う」と共感してくれる時もあります。そう思ってもらえると、なんだか良かったなと、不思議と安心したりします。文字に起こすだけでも、自分の中で物事と気持ちが整理できて、改めて楽しかったことを思い出し、また行きたいと思えたりします。楽しむというのは、「楽(らく)」とは違う、「楽楽(ワクワク?)」に近いものなのかもしれないですね!
それと、タイトルで「旅に行こう」と表現していますが、RPGをやったことがある方ならピンと来るかと思います。まさに、それなんです。さすがに、武器や防具を揃えて…と言うわけではありませんが。色々な場所へ足を運ぶと、家で過ごす日常や、学校という仲間や学びを重視する環境や、社会で上下関係や適応力、家庭と仕事のメリハリなどとはまた違う。その土地土地の地域差(物事の対する感覚)、空気感(人の雰囲気)、時間の流れ方(早く感じたり、ゆっくりと感じたり)などが全く違うように感じます。その空間へ足を踏み入れることを、自分は「冒険」だと思い、「旅に行く」と表現しています。かれこれ十数年、嫁と温泉旅をしてきて温泉や旅に対する知識が身に付いたというよりも、人としての在り方を見つめ直すことができたのかなとも思っています。旅をして、人間レベルが上がったのかもしれません。少年少女のころ抱いていたような「冒険心」は、大人になった今だからこそ必要なことだったりします。
夫婦の楽しみ方
温泉分析書と温泉
正直、難しいことは勉強不足で、よく理解していないところはあります。ですが、温泉の受付や脱衣所なんかで良く見かける『温泉分析書』(温泉の名称や成分などが書かれている紙)には必ず目を通します。
ふむふむ…と顎を擦りながら、とりあえず全体を眺めます。これで言うと、大和温泉なのに、源泉名は違うんだ…とか、ほとんど無色透明だけど、硫黄の味とか塩味が少しあるのか…とか、アルカリ性の温泉ってことはアルカリイオン水みたいな感じなのかな…とか、文字から読み取れる簡単な情報を軽く頭に入れる程度。その他の数値は初めの頃は全く気にもしていませんでしたが、毎回気に掛けて見ると、だから肌がスベスベになったんだな…、だから肌がピリッとしたんだな…と気付くことができます。より楽しみたい人は、詳しく調べてみるのも面白いと思います。
先ほどの情報があるおかげで、無色透明じゃない…薄緑に濁っている。硫黄の味とかどんな味がするんだろ?海が近くにないのに塩味がするってどういうことだろう?なんか、家のお風呂と違ってヌメッとする…等々。お湯に浸かりながら、キョロキョロと周りを見渡してみたり、シャンプーやボディーソープ、むしろシャワーがないけど、身体や頭を洗うときはどうするんだろ…と、ただの入浴に違和感と謎を覚える方も多いことと思います。お風呂なんだからと、家のお風呂のように立ってシャワーを浴びてしまったり、濡れたまま脱衣所へ上がってバスタオルで身体を拭いてしまったり、そのような方も多く見かけたりします。ゆっくり温泉に浸かり観察していると、温泉に対して色んな考え方を持っている人がいるんだなと、気付かされます。
文字で書かれている表記(例えば、無色透明、硫黄味)は、お湯が空気に触れる前は透明だったものが、空気に触れたり、人が入ることで少しずつ変化していったり、浮遊物(俗に言う湯花)の量によって見え方が違ったりします。硫黄って聞くと「卵の腐ったような臭い」と言われたりしますが、それをクサイと感じる方や、良い香りと感じる方など、人によって全く変わってくるのが不思議なところです。お湯がヌメッと感じるのは、決して浴槽を洗っていないからではなく、アルカリ性のお湯が肌に影響してヌメりを感じさせているというので驚きですよね。
マナーが必需品
大和温泉のようなお風呂では、シャンプーなどのアメニティーは持参することが必要(場所によっては購入やレンタルも可能)で、蛇口からお湯を出したり、浴槽のお湯を使って身体を洗い流すことになります。昔ながらの地域に根差した温泉(いわゆる共同浴場)は、このような様式を取っていることが多く見られます。もちろんタオル持参で、シャワーは座って、何よりも温泉に入るみんなが心地良く浸れる、そんな心遣いとマナーが一番の必需品だと感じています。そんな気持ちで温泉に入っていると、地元の方から「どこから来たの?ゆっくり入っていきなさいよ」と、優しく声を掛けられたりします。会話をすることで、その土地の訛りであったり、温泉の入り方だったり、この温泉の良さだったり、人の温かさだったり、温泉と人と接することで心から温まることができたりします。
手の入浴(手湯)
温泉めぐりをしていると、よく「足湯」を見かけることがありますが、手の入浴(手湯)するところがあったりします。遠目から見ると、神社だから水が出てるな…と素通りしてしまうところ、湯量が豊富なためか、手を浸すためだけの温泉が湧き出ています。お風呂は入らないけど、温泉に触れたい!という方は、見かけたらぜひ触れてみて下さい。熱かったり冷たかったり、その土地柄の温泉の感触や匂いを嗅いでみると、他の温泉とはまた違った感覚になると思います。お手軽に楽しめる手湯を探す旅、というのもまた楽しいかもしれないですね♪
足から温まる(足湯)
温泉地には必ずと言っても良いほど見かける足湯。入浴はできないけれど、温泉で温まりたい!という方には持って来いですよね。手湯同様に、お手軽に温泉を感じ、足元からじわじわと、ゆっくり全身の血行が良くなり温まる負担の少ない入浴法です。お手軽なのは、靴や靴下を脱ぐだけで入れるだけでなく、無料で入れるところも多くあるので、観光ついでに疲れた足をリラックスしながら会話を楽しむのも乙だと思います。
ただ、注意したいポイントがあります。外にあるため、24時間入れると思いきや、時間制限があり、行ったらお湯がなかった!ということも。事前に確認しておきたいですね。それともう1つ。写真をよく見ると、「キケン」と書かれています。何が危険なのか。もっとよく見ると、「85度」と。ありのままの源泉がそのままかけ流されている場合があるので、この場合はホースのある水の出ている付近で浸かると良いかと。足が沸騰してしまうことでしょう。笑。
温泉地によって、バリエーション豊かな足湯があることがわかります。
生活の一部として(汲み湯)
長野県の諏訪温泉では、汲み湯と言って自由に温泉を汲める場所がいくつかあります。元は、給湯器のない時代に炊事や洗濯のために利用されていたものですが、地域によっては今でも野菜を湯がいたり、洗濯場として利用されていたりする場所もあります。そのまま飲めるのか?と言うと、それはまた別の話で、「飲用可」「飲泉可」の説明がされているかどうかの確認が必要になります。飲用できる温泉については、次に説明します。
温泉は入浴するためだけのものではなく、炊事洗濯などの生活の一部としても利用されていることを知ると、人と温泉の距離が少し近くなった気がしませんか?
飲める温泉(飲泉)
裏手に回ってみると…
もしや、これは…
飲用上の注意事項、と書いてあります。飲用できる温泉ということですね!飲泉大好物の自分は、その場で「いただきます」と有難く飲んでしまいますが、泉質(酸性、アルカリ性、強塩泉などの種類)によって、そのまま飲めるものと、希釈(何倍かに薄める)して飲めるもの、1回で飲んでも大丈夫な量、食後が望ましかったり、就寝前には飲まない方が良い温泉だったり、色々な飲める温泉が存在します。注意事項をしっかりと読んでから嗜むことが、飲泉を楽しむ秘訣だと思います。ご飯を炊くと美味しい温泉もあったりするので、旅先では飲泉所は必ずチェックします!身体の中から温泉を満喫できることが、大きな楽しみの1つです♪
佇まいを楽しむ(建物)
ここからは、温泉めぐりでテンションの上がるポイントへと入っていきます。文字で「○○温泉」「△△泉」と知っていても、実際建物を目の当たりにすると、これが温泉?と思う佇まいだったりします。
平屋建て風
よくある物産センターのような平屋建ての建物。温泉旅館として利用されています。この中に、どんな温泉が待ち受けているのか、それを想像しながら入るのがワクワクします!
公衆トイレ風
硫黄の岩肌沿いにポツンとあるトイレ?のような建物。こういう簡素な作りから織り成す温泉パワーは、半端ないものだと経験上感じます。温泉は後ほど。
王道、温泉地の温泉
温泉地ではこのような作りを一番よく見かけるかもしれません。お風呂だけにこのような立派な建物を頂けるとは、人々が温泉に対してどのような気持ちで共存し、守って来たかをひしひしと感じます。
誰かの住宅風
コンクリートで作られた、意外と珍しい外観。住宅のような建物。1階が女湯、2階が男湯になっています。夫婦で来ると、浴室から「もうそろそろ出るよー」と声を掛け合うのですが、階が違うために声を掛け合えないのが難点。笑。
川沿いの掘っ建て小屋風
道路沿いからは見えない、坂のような階段を下った場所にある、川沿いの掘っ建て小屋風。(現在は建て直しされ、見た目綺麗な外観になっています)この雰囲気は、間違いないやつです。もちろん、下から湧き出る温泉は最上級でした。
崖っぷちの掘っ建て小屋風
写真からは伝わりにくいですが、建物まで長い階段を上って辿り着く、崖っぷちにあるこれまた掘っ立て小屋風の温泉。行った日はあいにくの雨でしたが、それでもびしょ濡れになりながら入りました。崖ということもあり、風が強く吹きますが絶景です!
このように、建物から、その立地から期待をさせてくる佇まいは、湯めぐりをする中で重要な要素の1つだと言えます。温泉に入る前から楽しませてくれる!思い出すだけでワクワクしてきます♪
浴槽を見て感じる
お風呂の浴槽と言っても色んな種類がありますが、その材質だけでなく、区分の仕方にも特徴があります。
木①
天候によって色が変わるという五色の湯。伺った時には抹茶のような濃い緑。温泉が注がれているのは木枠の浴槽。男女別に1つずつ。小さめの浴槽なのに、存在感を感じるのはお湯のインパクトが強いからに違いありません。
木②
薄緑の源泉が、ぬる湯と熱湯の2ヵ所に分かれて注がれています。源泉が熱い温泉地に多く見られるタイプです。ぬる湯はぬるいかと言うと、さほどぬるくなかったりするので、加水する際には他に入られている方への配慮をしてからにしましょう。地元の方曰く、ぬるくするのは早いのですが、熱くなるのは時間が掛かるためだそう。
木③
これもぬる湯と熱湯で分けられているのかと言うと、どちらも同じくらい熱くなっていました。どちらかが加水しても良さそうな作りのようです。だた、ここは混浴内湯となっています。入り口は1つ、脱衣所だけ別になっています。伺った際には、運良く貸切だったので、嫁のさつきとゆっくり入らせて頂きました。木の感じが乳白色のお湯を一層際立たせますよね。お湯がとてもピリピリとするのが特徴です。古臭さが、返って良い味わいを出しています。
木④
見た通り、浴槽が沢山あるのがわかります。温度別に分かれていて、41℃、42℃、43℃、44℃、46℃、48℃(男湯のみ)の浴槽があります。かぶり湯(掛け湯)をしてから、好きな温度を選ぶことができるのは嬉しいですね!熱湯が好きなので、48℃に入らせてもらいましたが、1分足らずでギブアップしました。そこには主(常連さん)が砂時計を持って、真っ赤な身体でにんまりしていたのを覚えています。自分には46℃のお湯が丁度良いことを教えてくれた温泉でした。
タイル
タイル貼りの浴槽に、少し高さを設けた湯口から滝?のようにじょぼじょぼと濃い緑色をした源泉がかけ流されています。緑色を見せていたのは、湯花の量が多いことが理由でした。タイルであっても、温泉が注がれると様になるのは不思議な感じですね。
石
自然の石をくり抜いて作ったような、自然味溢れる浴槽です。激熱な源泉が流れてくるため、ホースで加水をしないと湯気と共に召されてしまうくらい、心地良い朝の陽射しが注がれていました。気付いたことですが、石は熱い!周りの石も熱くなるので注意が必要です。とても気持ち良く入らせて頂きました。
岩
まさに海ですね。地球が浴槽な感じです。切り傷やすり傷に効能があるため、外科の湯とも呼ばれているそう。このロケーションだけで満足できる、そんな温泉でした。
まとめ
何か楽しいことはないかと、ずっと悩んでいました。
楽しいことがないんだったら、自分で楽しいと思うことを書いてみよう!
そう思い立ち、書き連ねました。
嫁のさつきに温泉を教えてもらってから十数年、バカみたいに記録も残さずに毎週のように遠くの温泉通いの日々を送ったことも、今となっては懐かしい、けれど、だからこそこうやって楽しいと、今も思える日々を送れています。
家のお風呂があるのに、わざわざお金を払ってまで外のお風呂に入る意味ってあるの?
答えは、YESでもNOでもありません。
意味はないのかもしれません。
入ってみたいという、好奇心や冒険心はあります。
行かなければ知らないこと、入らなければわからないこと、感じなければ経験できないことが世の中には無数に存在します。良いことも悪いことも沢山あります。良いか悪いか判断するにも、良いことを知らなければ、悪いことを感じなければ気付かなかったりします。それを教えることすらできない大人になってしまうことすらあります。
温泉を通して、初めて入浴する意味を知り、楽しさを知り、おもてなしやマナーを知りました。
旅をすることで、人や物、自然への大切さを学びました。
地域によって、コミュニティーが存在し、そこでの習わしがあり、共通した余所から来た人への優しさ、内への厳しさを感じました。
人として、旅と共に、温泉とともに、嫁のさつきのお陰で成長させてもらった気がします。
そして、
何よりも大切にしていることは楽しむ(ワクワクする)こと。
知識はさほど気にせず、嫁とタオルと最低限のマナーを携帯すること。それが、温泉旅(冒険)を満喫する秘訣だと確信しています。
温泉の佇まい、その利用方法から見える、人と温泉の距離感、在り方を、これを機に忘れずに、全力で楽しむことが自分たち夫婦の糧に、これからの温泉の存続に繋がっていって欲しいと切に願います。