ふづきです。
「寒い」という言葉を
「おはよう」の挨拶のように、
冬は知らずと自分たちを操る。
雪は「適度」が楽しみとなり、
日常は「過度」に困らされる。
言葉はたかが知れて、
現状はされど不慣れで。
見るそれと、
聞くそれが違うように、
その日の1日が
どんな物事から始まるか。
こんな文字の羅列が、
意志を持って綴られる。
ただそれだけで、
けれど
思いは常に…。
はじめに
<2021年 7月>
冬の北海道には、嫁から誘われ始めたスノーボードを楽しみに幾度か足を運んだりしていました。けれど、夏のその姿はあまり馴染みがないものでした。化粧というものは、人も自然界も見事に変貌させてしまう。素敵でありつつ怖いものでもあるなと、そんな印象を抱いたりします。
「ニセコ」というと、誰もが「北海道(のスキー場)」と思うくらい有名なところですが、温泉ファンがニヤリとするような硫黄香るお湯が湧いていることを今回の旅で知ることが出来ました。
www.fuzuki-satuki.com
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旅の始まりは、茨城県からの20周年記念となる『さんふらわあ さっぽろ』での船旅から。普段とはガラッと雰囲気を変えた船内イベントやシークレット花火。色々な意味で、このような時期だからこそ考えさせられる時間でもありました。
苫小牧港へ着港し、基点となる室蘭へ着くまで(今回の記事のメイン)。そして、そこからのニセコ温泉巡りは感慨深いものがありました。
旅の記憶として。
ふたりの足跡として。
苫小牧港から始まる

苫小牧港周辺には、(どの港でも言えることかもしれませんが)本当に何もないので、到着時間や移動手段等を事前に調べておく必要があると思います。
自分たちと同じくバスを利用する方よりも、駐車場に車を停めている方や迎えに来てもらう方々、(カーフェリーに)車を乗せて来た方のほうが多い印象がありました。バスの本数の少なさや不便さ(1日たったの4本、苫小牧駅まで250円、札幌駅までは1450円)があるからだと感じています。
北海道中央バスの時刻表はこちら↓↓
北海道中央バス

苫小牧駅までの距離はおよそ4km、ゆっくり歩くと1時間程度掛かる距離となりますので、余裕を持っての利用をオススメします。
※出典:Googleマップ
余談ですが…、苫小牧駅近くにあるドンキにはお世話になりました。お惣菜が半額の時間帯での利用でしたが、まさかのマグロ丼(中トロ含む)が盛々で破格の値段。期待していなかった味は、さすが北海道!嬉しい驚きでした。
苫小牧駅から向かう先は…


普段、電車に乗る機会などほぼない生活をしているので、見慣れないありきたりな光景が新鮮に感じました。
860円が高いのか安いのかは分かりませんが、とある場所を目指して電車に乗り込みます。分かる人には分かると思いますが、自分たちの大好物を求めて向かっていることには違いないですね♪
虎杖浜駅


自分たちのブログで、結構な頻度で登場する電車の車体。毎回「鉄ではない」と言っていますが、どうしても写真に収めたくなってしまうのは撮り鉄なのでしょうか?笑。シルバーの長方形に、鮮やかな緑のラインがカッコいいですよね!角ばっているフォルムで古びた感が出ているくらいがちょうど良い、と個人的には思っています。
早々に脱線しましたが…、虎と杖と浜と書いて「虎杖浜(こじょうはま)」と読みますが、嫁のさつき情報では秘境駅マニアから人気のある駅だとか。

苫小牧駅から約40分。着いたのは虎杖浜駅。
一見、普通の駅舎のようですが…。
実はココ、待合所しかないんです。
改札や切符売り場どころか、駅員さんなんていない。そう、いわゆる無人駅。
ココに来るまでは良いのですが、ココから乗れる電車が少ないのが難点(上下線とも1~2時間に1本程度)。先へ進むにも戻るにも本数が少ないので、最悪終電の時間だけは押さえて置きたいところ。まあ、それが無人駅の魅力のひとつだと思えば、損した気分にはならずにレアな気分に浸れます♪
無人駅あるあるですが、待合所には交換日記のようなノートが置かれていて、この駅目当てに来た方や、日帰り温泉に入られた方など、思い思いの言葉が書き綴られていて胸が熱くなるのを感じました。人との繫がりが疎遠になりつつある昨今、文字でのコミュニティーはネット上だけではないことを再認識した瞬間でもありました。一瞬で相手に届く便利さに慣れてしまった環境に、ホッと一息つきながらしばしの時間を費やし宛てもない誰かの目に心に届く言葉がグサりと突き刺さる感覚は、何だか痛気持ちい心地良さとなって確かに伝わってきました。
貴重な機会だと思い、足跡を記させて頂きました。
列車が…


普通の日常なのだろうけれど、
何故だかワクワクしてしまう。
ただそれだけ。
レトロで単純だけれど、一番分かりやすい。
優しい響き



本当に列車が来た!
嫁のさつきが、
(列車が遠くに見えているときから)手を振っている。
すると、ふたりだけの静かなホームに響き渡る…
このあと何度も嫁のさつきから言われたことですが、
「これってスゴイことだからね!」
だそうです。
心優しい車掌さんだったのでしょう。この音を聞くために足を運ぶ人もきっといるのだろうと、電車の魅力に少し足を踏み入れた気がしました。
鈴蘭の花かと思いきや…

虎杖浜駅から足を踏み出すと、ピンクと白の綺麗な花に目を奪われる。「室蘭だから、鈴蘭の花かな?」なんてその時は思っていましたが、後々調べて見ると全くの別物で。
『ルピナス』という花の名。
藤の花を逆さにしたような姿のため、「昇り藤(のぼりふじ)」とも呼ばれているそう。時期は4月下旬から6月頃。寒さに強く夏の暑さには弱い、まさに北海道の地に相応しい花と言える。
「想像力」
「いつも幸せ」
「あなたは私の安らぎ」
ポジティブで安心感のある花言葉は、今の自分に必要だったから出逢えたのかもしれないと。勝手にそう思い込んだ自分がここにいました。
日帰り入浴…そして…

虎杖浜駅には、日帰り入浴をさせて頂こうと思い足を運びました。
何件かの日帰り入浴施設がある中、とある日帰り温泉施設に足を運びました。(この写真に写っている看板は無関係です)
幹線道路より住宅街へと道を進むと、優しそうなおじさんが迎えてくれて、嫁と一緒に家族風呂に入らせて頂きました。時間制限はありましたがゆったりと入ることが出来ます。さらに、蛇口を捻ると白い気泡の多い柔らかな温泉を掛け流すことが出来るのが一番の魅力。滑らかな肌触りながら湯上りには身体が火照るほど温まるという、寒さ厳しいこの北海道の地にはピッタリな湯心地。贅沢なひとときとなりました。
撮影厳禁との貼り紙があるため、
おじさんに伺いました。
おじさん「ここは、いつも来てくれる人が多くいてね。インターネットに載せてしまうと、その方たちが入れなくなってしまうとね…。有難いことなんですけどね…」
入ってみたら分かりますが、とても心地良い温泉が湧いています。けれど、ネットで検索してもほとんど見当たらない深い理由がありました。
忘れがちなことですが、当たり前なことですよね。自分たちだって家族や身近な人たちに色々な面で支えられてきています。確かに遠方からここを目当てで来てくれることは嬉しいことで、断ることだってしません。誰にも同じ笑顔で出迎えてくれる優しさ。それを知れば、もうそれ以上邪魔をすることはしたくはないですし、むしろまた来たときに、同じ笑顔で迎えてくれたら嬉しいと。そんな思いで胸まで熱くなりました。
拠点は東室蘭

今回の旅の拠点となる東室蘭。
何故真っ赤な色をしているのかは分からないけれども、道に迷ったときに分かりやすくて良いですね!今回、東室蘭を拠点とした理由は、嫁のさつきが決めてくれたから。というのが一番の理由です。笑。室蘭と言ったら・・・というものがココから近いから、移動しやすいから。というのもひとつですね。
前回の記事でも少し触れましたが、ココからレンタカーを借りて移動しているのは、電車やバスなどの公共機関を利用するとなると、今回の目的にはそぐわない点が多く、返って高くつき時間が掛かってしまうから。(ニセコへ行くためには車が最短で一番楽な手段ということ)
室蘭と言ったら
室蘭と言ったら、何を思い浮かべますか?
正直言うと、
自分は無知だったもので、蘭の花とか適当に思っていました…汗。
名物グルメがあるそうで、
室蘭焼き鳥やら、カレーラーメンが有名だそうです。
どんなものか気になりますね♪
やきとりの一平

やきとりの一平は、
室蘭ご当地名物『室蘭焼き鳥』が食べられるお店のひとつ。
面白いのが、焼き鳥なのに鶏ではなく豚を使っているところ。昭和25年から続いている人気店のため、事前に予約した方がスムーズに入れそう。
賑わいを魅せているのは、やはり美味しいからでしょう。中に入るとしっかり対策を取ってあり、親切で丁寧な対応にとても好感が持てます。
和のイメージで統一された店内は、派手さはないものの旨いものを出してくれそうな雰囲気。炭焼きの煙に乗ってモクモクと伝わってきます。
苫小牧に着いてからまともな食事をしていなかったので、口の中がヨダレで満ちてくることに危うく気付くのが遅れるところでした。
店舗名 やきとりの一平 中島本店
所在地 北海道室蘭市中島町1丁目17-3
TEL 0143-44-4420
営業時間 17:00~23:00(日祝17:00~22:00)
定休日 年中無休(12/30~1/1は休業)
公式サイト
やきとりの一平本店
地図
※出典:Googleマップ
豚→鶏→地酒の室蘭フルコース

乾杯は迷いなく生ビール。
味を忘れないよう、喉の準備運動を済ませます。

これが『室蘭焼き鳥』。
豚肉は焼くと固くなるイメージがありますが、これがジューシーな鶏肉のような柔らかな歯ごたえ。どれも旨いが、シロはトロットロ。肉が旨いのか焼き方が上手いのか、もちろん両方でしょう。
うずらの卵を殻ごと焼いて食べるのが室蘭流のようですが、今回は遠慮させてもらいました。想像しただけで口の中が痒くなりそうで…苦笑。次回はチャレンジしたいと思います。




「つくね」は、見た目通りふっくらでジューシー。タレがほど良く染み込んで、甘旨。お酒でもご飯でもイケそうな一品。
「アスパラ」は、地産だろうか。とても甘くてシャキッとした食感を残した良い焼き加減。ベーコンなくともこれだけで十分なポテンシャル。
「スペアリブ」は、隣の客が美味しそうに食べているのを見て注文。焼いているところから旨い。肉が旨いのかタレが旨いのか、どっちでも良くなるくらい。
「鳥タタキ」は、日本酒が欲しくなる一品。豚だけじゃない、鶏も旨いお店がココにありました。

室蘭地酒の『蘭心』。
飲み口は柔らかく、クゥーっとなるような強さ(辛さ)はなく、まろやかな後味。さほどクセがないため、焼き物に合うのは当然。そのままでもクイっと飲み干してしまいそうな口当たりの良さ。旨い肴と旨い酒、嫁と来られりゃ他に何も言うことはないです。
地球岬

地球岬という、スケールの大きい名前が付いているだけで行ってみたくなるのは自分だけでしょうか?
丸い地球が見渡せる!?なんてロマンを想像しながら足を運ぶとワクワクが増しますね♪
名称 地球岬
所在地 北海道室蘭市母恋南町4-77
地図
※出典:Googleマップ
なぜ地球(チキウ)岬?


先ほど期待をしていた「丸い地球が見渡せる」のではなく、アイヌ語で断崖を意味する言葉の『チケップ』が転訛(発音がなまって変化)して『チキウ』となった当て字が使われているようです。

登るとより体感できると思いますが、
遮るものが何もない、この断崖絶壁感。
チケップ、いや、チキウノミサキデスネ!
幸福の鐘

地球岬の沖にはクジラやイルカが回遊しているようで、運が良いと出逢えることがあるそう。夏から秋にかけてはイルカの群れに出逢えるチャンスまで。
自分たちの目には見えませんでしたが、この鐘の音が幸福をもたらしてくれると信じています。もしかすると、ここに来られたことがすでに幸せなことかもしれませんね♪
金屏風


東室蘭から地球岬を目指していた途中で見かけた『金屏風』の看板。スペースはありますがカーブになっているため、路駐してしまうと危険。向かい側にちょっとした駐車スペース(すでに数台車が停められている場所)に停めさせてもらい、何が金屏風なのか見に行くことにしました。
名称 金屏風
所在地 北海道室蘭市母恋南町4丁目
地図
※出典:Googleマップ
陽射しを浴びると…

辿り着いた時刻は午前10時を回ったところ。
多少なり陽の光は浴びているようですが、金屏風…とまではいかないようですね。気になって調べて見ると、朝陽を浴びた時に金色に輝いて見えるよう。ここからの眺めよりも、外海遊覧で船から見るとより一層感動が増すようです。ちなみに銀屏風もあるようなので、次回はぜひ船から眺めてみたいものです!
道の駅 みたら室蘭

東室蘭からニセコの温泉へ向かう途中に立ち寄らせて頂いた『道の駅 みたら室蘭』。ここに寄って正解でしたね。駐車場が広く、海も見えて快適に車中泊も出来そう(今回はレンタカーで先を急ぐため、見送り)と好感を持ちながら施設内へ。
名称 道の駅 みたら室蘭
所在地 北海道室蘭市祝津町4丁目16-15
TEL 0143-26-2030
地図
※出典:Googleマップ
くじら食堂

小腹が空いたので、休憩も兼ねて何か食べようかなと思い立ち寄りました。窓側のカウンター席からは、敷地内の広場とその先には海を眺めることが出来ます。いつか、車を乗せて巡った際には車中泊で利用したいなと思うくらい、広々と、清潔感と開放感のある道の駅だと思いました。
カレーラーメンと焼き鳥丼

あまり期待していなかったのですが、
正直言うと…どっちもめっちゃ旨かった!


ただのカレーのラーメンだと思ったら、本当のカレーのラーメンでした。けれどそれは、とても濃厚な蕎麦屋のカレーうどんのようなトロリと濃厚なスープ。中太麺がほど良くスープを救い上げ、噛み応えのある麺を咀嚼することでさらに濃厚さを増すカレーのコク。道の駅のラーメンって、ここまで旨くなったんだなと、どの立場からモノを言っているのかと自分で思うほど、口の中に残った香りに浸って唸ってしまう。

豚肉なのに焼き鳥を串から外し、山ワサビとカラシをちょこんと乗せて、山菜ごはんを巻き込んでかき込みます。肉の甘さと山ワサビのツンとした辛さが丁度良いアクセントに、更にその余韻に浸る間もなくカレースープをグイっと。
…これぞ言葉に出さずとも伝わる旨さ。
顔に出るとはこのこと。無言で笑顔になります。
まとめ

本音を言うと、
ココに来るまではニセコの温泉のことばかり考えていて、室蘭のことを疎かにしていました。拠点で寝泊まり出来れば良いくらいに考えていたので、このギャップに驚きを覚え、食の旨さや感動を残せれば良いなと思いました。情報で見るのと、何となく聞くのと、実際足を運ぶのとでは全くの別物。「知る」と言うのは、「正しく知る」ことが大事なんだなと、改めて気付かさせて頂きました。
室蘭には、地球岬や金屏風などの見る楽しさや、それを思う存分楽しむには何故そうなったのかを知ることも楽しさのひとつ。ただ名を馳せているから有名なのではなく、自分がその地に立ち、何を見てどう感じたかに気付くこと。そのことで、より価値やその意味を理解できるんじゃないかと感じています。
虎杖浜の温泉で出逢えたおじさんの温かさは、きっとそこに通ったからこそ築けた賜物で、自分たちには理解しきれないほどの思い湧くものなのだろうと。またふらっと立ち寄ってしまうかもしれません。
室蘭名物は伊達じゃなかった。
豚肉でも焼き鳥でいいじゃない。今なら胸を張ってそう言えます。笑。室蘭に来たら、柔らかく肉汁たっぷりな豚の焼き鳥をお腹いっぱい食べられ、トロリと濃厚なカレーラーメンを道の駅(みたら室蘭)で食べることが出来ます。休憩がてらに食べられるなんて、しかも海を見ながら…。こんな贅沢な時間を、嫁のさつきと過ごせることを幸せに思います。
