ふづきです。
夏の音を聞くと、今年もやっとこの季節を迎えられたと感じます。
多くのことがあり過ぎて、胃も心も消化不良になりかけていた今日この頃。ドン!バン!シャララ…と、闇夜を眩く照らす光に、ひとときの和みと一握りの大きな希望を魅せられた気がします。新しい生活様式ばかりに気を取られ、ほんの数か月前の忘れかけていた日常を、ふと、温かな思いと共に巻き戻してくれるような。たった数発の尺玉によって、遠くから聴こえる風物詩の音は、普段の祭とはふた味違う。昔ながらの風情とは、このことだったのかもしれないと感じずにはいられません。
耳から音が消えそうな頃、精一杯生きる蝉の声が。騒がしいはずの音ではなく、夏の余韻として聴こえてくる。そんな熱い季節の始まりが、これからも来て欲しいと願っています。
はじめに
今回は、言葉を意識しない。知識や先入観もいらない。ただ、目と感性で巡る。そんな湯めぐりもあっていいかな、と思い立ちました。有名な温泉地であるがゆえに、多くの人が様々なイメージを持ち、沢山の考えや思いを抱いていることに気付きました。自分もそのひとりです。もし、何も知らずに、生まれて初めてその温泉に出会ったなら。目で見て、何を感じるのでしょうか。
知っているからこそ分かること。知らないからこそ気付くこと。初めてだとしたらこう感じるだろうということ。実際に行かないからこそ思う想いだったり、肯定的、否定的な私見だったり。
もしも、知らなかったら、自分はどう感じるのか。
写真と共に巡る旅です。
共同浴場(全19ヵ所)
※1ヵ所のみ未踏のため、公式サイト情報を載せてあります。開放時間や泉質等の詳細な情報を敢えて載せてありませんので、ご了承願います。また、主観を省くためにほぼ写真のみ載せてあります。
白旗の湯
千代の湯
補足…建物の前に湧き水が出ているため、ベンチに腰掛けながら湯上りの一杯と湯涼みを楽しめる。
地蔵乃湯
煮川乃湯
こぶしの湯
翁の湯
凪の湯
喜美乃湯
関乃湯
恵乃湯
白嶺の湯
※外観のみ
躑躅の湯
※外観のみ
長寿乃湯
※外観のみ
長栄の湯
※外観のみ
千歳の湯
※外観のみ
睦乃湯
※外観のみ
巽の湯
※外観のみ
瑠璃乃湯
※外観のみ
おわりに
古い写真から、新しい写真まで。何度も足を運んでいるところもあれば、一度きりしか入っていないところもある。行こう行こうと思いつつ、結局いつものところで落ち着いてしまう始末。写真だけ見ても、思い入れのあるところが手に取るように分かる。
人と同じように、温泉も生き物。
源泉や泉質と言う言葉の表記は同じでも、好きとそうじゃないところがハッキリと出てしまう。それは、建物の造りや浴槽の材質、風の抜け具合や源泉からの距離によるお湯の微々たる変化。木やタイル、腐食の度合いによる匂いの違い、見上げた時の湯気の見え方だったり陽射しの差し込み方だったり。
温泉に入ると一言で言っても、様々な、人それぞれの感性や感じ方ひとつで、19もの共同浴場での好みが変わる。たった6種類(湯畑源泉・白旗源泉・地蔵源泉・煮川源泉・西の河原源泉・万代鉱源泉)の源泉が、その場所、その建物、その距離、その日の気温やその時の温度によって、その人の体調や気分によって全く違うものとなる。人がその日その時によって会話が変わるように、温泉に入ると「今日はいつもよりまろやかで気持ちがいい」やら「なんか今日はココじゃない気がする」やらと、五感で感じて知らず知らずに温泉と触れ合っているように思う。
ここの脱衣所はどんなだっただろう。
あそこのお湯は、どんな湯加減だっただろう。
今度はあっちのお湯に浸かってみたい。
もし、時を戻すことができて、初めてこの温泉地を訪れたとしたら。
きっと、また、
どんなに時間と日にちを掛けてでも、
草津温泉と言うお湯を、火傷するほど湯めぐりしてしまうんだろうと。
ありえない事実なのに、
自信を持って言えてしまう自分が、ここにはいます。
それは、嫁と始まる湯めぐり旅と共に…。
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