徒然たびたび夫婦旅

温泉、車中泊、プチ旅行…。夫婦ふたりで気ままにお出かけ日記♪

11年前の今、何を思うのか。~嫁と祭囃子と自分~【写真 旅】

今週のお題「カメラロールから1枚」





ふづきです。



窓から外を眺めると、雨粒が舞っていた暗雲の空模様から一転。清々しい風と共に、陽射しを浴びる。家にいる時間が長くなってからか、季節の移ろいに疎くなってしまった。木々は若葉色の染まり、雲は本格的な夏に向けて些か豊満になってきたように感じる。



「夏になるのか」



冬らしい冬を迎えないまま、春の息吹を感じる間もなく家籠り。良いのか悪いのか、鼻をかむ頻度が減り、部屋のティッシュに薄っすらと季節外れの雪化粧が望める。いつから「花嵐」の「雪」で散るようになったのか。令和を迎えてからの時は、いつにも増して加速し、一体どこへ誘おうとしているのか、行く末を知るにはまだまだ経験値が足りていないようだ。





旅の途中



嫁と温泉という共感点を見出した頃、車旅を始めた。旅と呼ぶと、大げさな、さぞかし遠くの国へ、そんなイメージを抱くが、自分たち夫婦の中では違った。旅行とはまた異なる、観光とも言い難いもの。目的は温泉。つまりは、温泉に入り、時には車中泊をし、帰宅する。ただそれだけ。温泉目的の「旅」が主役。

そんな旅をしていると、偶然の出逢いがある。国家の象徴だったり、有名YouTuberだったり、その土地の風習だったり。もちろん、温泉地での守り主(地元民)との有り難い話を聞けたりすることもある。あくまで、自分たちは余所者。感謝と謙虚さを忘れてはならない。旅を長く、温泉を末永く守り続けていけるよう、旅で支援していくこと、今という時期を耐え抜くことが必要だと思う。



時は遡ること11年前。2009年の5月。都心とは思えない山間部へ車を走らせていた。行ったことのない温泉へ行く。それが目的だったからだ。今回はカメラロールということで、温泉については割愛させて頂くことにする



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新緑の奥多摩湖は、水の色までも夏色へと変えようとしていて、


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薄緑のそれは冷たく、開放感と壮大さを肌から教えてくれた。





「ピ~ヒョロロ~…」



どこからともなく、聴こえてくる音色。車の窓を開けると、その音は近づいてくる。ガヤガヤと、多勢で賑わう声がする。一抹の不安を抱えながらも車を走らせる。もしかして…と、思うのも束の間、警備員と思われるおじさんに制止されたのだ。



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青梅大祭 山車*1



「うわ、マジか…」



旅の途中で、喰らった足止めという習わし。




思わずシャッターを切る



旅の計画は、というと。

計画をすると何日も時間ばかりかけて、「石橋を叩いて…結局渡らない」ふづきと、とりあえず「行けば何とかなる」のさつき。目的地だけ抑えて、出発→ただいま→楽しかったね!のシンプルなもの。そのため、このように行く手を阻む出逢いに遭遇する始末。



さつき「お祭りじゃん!見ていこうよ!」

ふづき「え…、うん。じゃあ少し寄って行こうか。」



予想していなかっただけに、大幅な時間ロスと言うショックが大きいものの、予定外のお祭りまで楽しめるというおまけ付きなのも、旅の醍醐味。だから、さっきから騒がしく、やたら歩いている人が多かったんだ…と今更気づき、停められる駐車場を探す。エンジンを切ったと同時に、嫁のさつきは車から飛び出す。すでに嫁の祭は始まっていたことに今頃気づいた自分がいた。浴衣姿の若者や、光る触角を付けた妖精たち。和太鼓の振動を空気から感じ、次第にワクワクしてくるのが顔に出る。何でだろう、祭囃子を聴くと、こみ上げてくる何かがあるのは。



嫁の視線の先には、殺気漂う気配を感じた。



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「すごい…」



少しだけ…のはずが、どれくらいの時が経っただろう。

ふたりとも、「すごい」という以外の言葉を忘れ、時間をも忘れていた。

他にも山車は引かれ、喧嘩のような威勢を感じてはいたが、なぜかこの気迫に心を奪われていた。そして、知らず知らずに、シャッターを何度も切っていた。



しばらくしてから、正気に戻った自分は嫁を呼び戻し、車へと足を運んだ。車の中では興奮冷めやらずの嫁のボルテージが上がっていて、しばらくすると眠りに落ちた。




11年前の今



11年後なんて想像もしなかった、いや、想像する必要がなかった。その時のがあり、ふたりのがあった。旅の途中でのただの出来事。その土地伝統の習わし。今年は悪い輩の大流行で中止に追い込まれた。伝統を継ぐ人、継承する人は、何を思うのだろう。



これまでの月日の間、彼女が嫁となり、ふたりの歴史を紡いできた。

11年前から続けている旅の主旨は今も変わらず、同様に、祭伝統の慣習も引き継がれている。

あの日、あの時、見たあの赤いものは、

なぜ、今になってこのような形で思い起こされたのだろう。

11年間、気にも掛けていなかった写真。

11年後、こうやってしみじみ感じる思い。



あの日、あの時、停められていなかったら。

…きっと、それはないと思う。





偶然と感じているだけで、それは線で描かれたレールの上を進んでいるに過ぎない。ベタだけれど、偶然なんて人間が思い描いた空想で、なるべくしてそうなった。だからこそ、当時の今と、今を共に生きることができる。





いつかの今、祭囃子が聴こえる頃。

赤い髪に引き寄せられたふたりが、

力強く、逞しく、

しっかりと、前を向いていることだろう。










旅先で出逢った有名YouTuber
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結婚記念日に不思議な出逢い
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車旅での仲間との出逢い
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諏訪湖での見知らぬおじさんとの出逢い
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